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 国土交通省は3日、「土地政策研究会」(座長:浅見泰司東京大学大学院工学系研究科教授)の中間とりまとめを公表した。

 同省は、人口減少下における持続可能な国土と地域の形成に向けた、土地政策の在り方等を広く検討するため、2023年10月に「土地政策研究会」設置。委員からの意見や自治体へのアンケート等を通じて検討を進めてきた。24年6月11日に「サステナブルな土地の利用・管理」の実現を全体目標とした新たな土地基本方針が閣議決定されたことを受け、速やかに処置すべき具体的な施策を中心に、中間とりまとめを行なったもの。

 とりまとめでは、全国的に空き地の面積が急増していること、ゴミの不法投棄や草木の繁茂、害虫害獣の発生といった空き地等の外部不経済が問題化していると指摘。また、宅地化を前提とした従来の土地利用では需要が不足しており、取引や利用までの時間がかかることもあり空き地等が発生する要因となっているとした。

 こうした現状と課題を踏まえ、今後は空き地等を宅地としてでなく他の用途での利活用を追求すべきとし、再利用の可能性を維持するために低コストでの管理を継続すべきとした。こうした空き地等の利活用を促すため「ニーズの掘り起こし、マッチング、地方公共団体のサポートを担う中間組織の存在」「地域コミュニティや幅広いプレーヤー、マネジメント人材の関り」「土地所有者の管理責任を果たす仕組み」などにより、利活用と管理の担い手を確保。活用見込みがない空き地等の農園や菜園等への土地利用の転換を本格的に検討すべきとし、空き地等の発生状況や利活用の意向把握により対策を重点化すべきとした。

 また、土地の有効利用と継続的な管理を実現するため「管理」の概念を国土・土地利用の法体系に明確に位置付けるべきとし、空き地等の利活用・管理のノウハウを有し、土地利用転換や一時保有を含む管理等のランドバンク機能を有する組織を法的に位置付け、公的信用力を付与してその活動を支援することや、宅地化抑制や空き地等の利用転換など地域の実情を踏まえた今後の土地利用・管理に係る方針を地方公共団体が計画等に明記し土地利用を誘導することといった具体的施策を提案している。
 国土交通省は28日、「令和6年版国土交通白書」を公表した。

 今回の白書では、深刻な少子高齢化と人口減少に直面しているわが国の現状を踏まえ、「持続可能な暮らしと社会の実現に向けた国土交通省の挑戦」をテーマとした。

 第1章では、本格化する少子高齢化・人口減少における課題として、高齢就業者の大量退職や、少子化による若年層の就業者の減少による「担い手不足の深刻化」や、出生率の低下による「将来の生産年齢人口の減少」、高齢化に伴う「地域活力の維持」などを取り上げ、その現状や海外との比較について解説している。

 第2章では、こうした現状を打破するため、さまざまな技術を活用した「持続可能な社会に向けた取り組み」や、若者・子育て世帯を社会全体で支える「子供・子育てにやさしい社会に向けた取り組み」、地域力を高め、地域への人の流れを創出・拡大するような環境整備など「地域の持続性につなげる取り組み」などを解説している。

 また、令和6年能登半島地震への対応についての「特集」を設け、43市16町4村とのホットライン構築、被災地支援のためのTEC-FORCE派遣、被災状況調査(道路、河川、砂防、海岸、鉄道、港湾、空港等)や建築物の応急危険度判定などの取り組みを紹介している。
 国土交通省は21日、「令和5年度マンション総合調査結果」を発表した。5年に一度行なっているもので、前回調査は2018年度。

 マンション管理に関し、これまでの施策の効果の検証や、必要な施策の提示のための基礎的な資料を得ることを目的に、マンションの管理状況、マンション居住者の管理に対する意識などを調査したもの。調査期間は23年10月~24年3月で、郵送およびオンラインで実施。対象は、全国の管理組合4,270件、区分所有者8,540件。有効回収数は、管理組合が1,589件(回収率37.2%)、区分所有者が3,102件(同36.3%)。

 マンション居住の状況では、居住者の高齢化が進み、70歳以上の割合が25.9%(前回調査比3.7%増)となった。完成年次が古いマンションほどその割合は高く、1984年以前に竣工したマンションにおける割合は55.9%と半数以上。また、居住するマンションで「永住するつもり」と回答した区分所有者の割合は60.4%(同2.4%減)だった。

 賃貸住戸のあるマンションの割合は77.8%(同3.1%増)、3ヵ月以上の空室があるマンションの割合は34.0%(同3.3%減)で、いずれも完成年次が古いマンションほどその割合が高くなる傾向が見られた。

 3ヵ月以上の空室があるマンションについて、完成年次別に見ると、1984年以前築のマンションでは空室が20%超という管理組合が2.9%、0%超~20%は56.8%。年次が新しくなるほど空室割合は低下し、15年以降築は20%超が0.6%、0%超~20%が16.8%、71.3%が空室がないと回答した。また、空室の中でも所有者が不明・未連絡の空室があるマンションの割合は3.3%だった。こちらも完成年次が古いほど割合が高くなる傾向にある。

 マンション管理の状況では、計画期間25年以上の長期修繕計画に基づいて修繕積立金の額を設定しているマンションの割合は59.8%(同6.2%増)となった。積立方式については、均等積立方式の40.5%に対して、段階増額積立方式が47.1%。完成年次が新しいマンションほど段階増額積立方式を採用している割合が高く、15年以降築のマンションでは、8割超が段階増額積立方式を採用していた。現在の修繕積立金の積立額が計画に比べて不足しているマンションの割合は36.6%(同1.8%増)で、うち20%超の不足となっているマンションの割合は11.7%(同3.8%減)だった。

 外部専門家の理事会役員への選任については、「検討している」「将来的に必要となれば検討したい」としたマンションの割合は34.6%(同6.3%増)。理由としては、「区分所有者の高齢化」が42.7%(同5.1%増)と最も多く、次いで「役員のなり手不足」が42.3%(同5.8%増)となった。

 大規模災害への対応状況に関しては、「防災・災害対応策に関する情報を収集・周知している」と回答した管理組合の割合は23.7%(同6.8%増)と、約7%増加。「特に何もしていない」と回答した割合は11.6%(同11.8%減)で、12%近く減少した。
 国土交通省は20日、空家等対策の推進に関する特別措置法(空家法)の施行状況を公表した。地方公共団体を対象に行なった調査で、2023年12月13日に施行された改正空家法に基づく内容についても集計した。3月31日時点。

 市区町村における空家等対策計画の策定状況については、「策定済み」が1,501市区町村で前年よりも51市区町村増加した。法定協議会については、「設置済み」が1,028自治体と前年から36市区町村増加。

 改正空家法で新たに制度化された空家等管理活用支援法人の指定状況については、全国8市区町村で9法人が指定されており、90市区町村で119法人が指定に向け検討中だという。また、同様に改正空家法で制度化された空家等活用促進区域については、指定済みはゼロ。32市区町村・44地区が指定予定となっている。

 改正空家法で定義された「管理不全空家等」に対する措置状況は、2023年度は92市区町村において1,019件に「指導」が行なわれ、「勧告」された空き家はなかった。一方、特定空家への措置状況については、同年度は「助言・指導」が4,246件、「勧告」が534件、「命令」74件、「行政代執行」33件、「略式代執行」94件、「緊急代執行」5件となった。何らかの措置がなされた特定空家は累計で4万3,953件となった。

 空家法に基づく措置や市区町村による空き家対策によって除却や修繕、樹木の伐採、利活用等が行なわれた空き家の件数は累計で19万2,540件。内訳は管理不全空家等が1,220件(指導前になんらかの対応を行なったものを含む)、特定空家が2万4,435件、これら以外の空き家が16万6,885件となっている。
 国土交通省は14日、主要都市の高度利用地等における地価動向をまとめた「地価LOOKレポート」(2024年第1四半期)を公表した。

 調査対象は、東京圏35地区、大阪圏19地区、名古屋圏8地区、地方圏18地区の計80地区(うち住宅地22地区、商業地58地区)。

 当期(24年1月1日~4月1日)の地価動向は、上昇が80地区(前回79地区)、横ばいが0地区(同1地区)、下落も0地区(同0地区)。利便性や住環境に優れた地区でのマンション需要の堅調さと、店舗需要の回復傾向の継続などにより、07年の調査開始以降、初めて住宅地および商業地の全地区において上昇となった。住宅地は、8期連続で全地区で上昇。

 用途別では、住宅地は上昇が22地区(同23地区)。商業地では、上昇が58地区(同56地区)、横ばいが0地区(同1地区)。「横ばい」から「上昇(0~3%)」に転じた地区が1地区、「上昇(3~6%)」から「上昇(0~3%)」に移行した地区が1地区あった。

 圏域別では、東京圏が上昇35地区(同34地区)、横ばい0地区(同1地区)。大阪圏は全19地区、名古屋圏は全8地区の上昇がそれぞれ継続した。地方圏についても全18地区の上昇が続いた。